相変わらず、リンク元が語りたい本筋とは違うところに反応するわけだけど。
一つ一つが自分を表すものの、やはり全てをひっくるめてネット上における自分(=アイデンティティ)である。逆に言えば、ネット上でアイデンティティを確立するには、自分がどのようなサービスを使って、どのような活動を行っているのかを第三者に見つけてもらえる手法が必要になる。
まず、なんで Web 上のアイデンティティを確立するのに Web でやってる自分の活動をまとめて見せなきゃならないのかが全然理解できない。これがリアルの世界だったら、自分の人生における活動を全部追跡可能にしないとアイデンティティが確立できないなんてことはないはずだ。むしろ、あっちの自分とこっちの自分は別
くらいに考えている人の方が多いだろう。
たとえば、複数のサイト間でシングルサインオンに近い環境を実現するOpenIDだ。Yahoo!やGoogleなど発行をサポートするサイトから取得したURLベースのOpenIDを用いて、すべての対応サイトで個人のアイデンティティを証明できる。匿名コメントを拒否しているブログであっても、そのサービスがOpenIDに対応していれば、そこにアカウントを持つことなくOpenID 認証でコメントを書き込める。サイトの壁を簡単に乗り越えられる便利な認証システムだ。しかしながら、利用・普及のペースは芳しくない。今年4月、ソーシャルネットワーキング・ツールのCrowdVineが「もう誰もOpenIDは使わないの?」というレポートを公開している。積極的にOpenIDに対応し、初期利用者からは「非常に便利」という反応ばかりが集まっていた……にも関わらず、一般ユーザーのOpenID利用がさっぱり伸びない。
いわゆる「アーリーアダプター」という人たちは Web 上でメシの種を探していたりするから、仕事と趣味の境界をあえて曖昧にする意味で、自分の活動をまとめてアピールできることにメリットを感じることもあるのかもしれない。あるいは、あれこれサービスを試してみること自体が好きなら、OpenID でアカウントの数が減るのは単純に便利だろう。だけど、大部分の一般人にとって、こっちのサイトにいる自分があっちのサイトにも生息していることをアピールする必要性はない。たとえば自分の趣味 A についてあるページにコメントを書くとき、自分が関わっている趣味 A のサイトアドレスくらいは残すだろうけど、そこから全然別の趣味 B と自分の関係について辿れてもいいかどうかはケースバイケースじゃないだろうか。何でもかんでも OpenID を使ったら、無理にリンクしなくてもいいようなところにもリンクができて、露出の加減を制御できない。でも、OpenID は何にでもかんにでも使ってもらうことでメリットが増えるというサービスだから、全然相容れないわけだ。
と、ここまで書いてふと思ったけど、その人にとって、Web が家庭・社会・趣味……という多面体の一面なのか、それとも家庭のリアル界と Web 界、社会のリアル界と Web 界……という感じで、それぞれの面でリアルと Web(ヴァーチャル)の二層構造になっていると捉えるかで全然違うような気がしてきた。ふうこ的には、断然後者だと思っているわけだ。家庭人として料理サイトでレシピを探し、職業として OSS のプロジェクトに参画し、SNS に参加して旧知の友人と出会い、ブロガーとして思うことをぷちぷちと Web に吐き出す。今ここまで読んでくださった方は、ただ今ブロガーなふうこをご覧になっているわけだが、家庭人だったり社会人だったりするふうこのことは(今までの縁によって)ここで書く以上のことをご存じだったりそうでもなかったりするでしょう。それでいいじゃん。