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綾辻行人・佐々木倫子『月館の殺人』(上)(下)

月館の殺人(上) 月館の殺人(下)

沖縄育ちの空海(そらみ)は、「鉄道」と名のつくものに一度も乗ったことがない。たった一人の家族である母が何故か鉄道を毛嫌いしていたからだった。そんな母を亡くし、ついに天涯孤独となった空海の元に、音信不通だった母方の祖父から北海道を走る特別急行列車「幻夜」への招待が。同じく招待を受けた曲者ぞろいの『テツ(鉄道マニア)』達と共に、空海の人生初の「鉄道旅行」が始まる。

やー。絶対遅れるか消えるかすると思ったんだけど(笑)無事完結したんですねぇ。新本格ミステリブームの先駆けと言われている綾辻行人の原作シナリオを佐々木倫子が作画した『異色コラボ』。…ふうこ的にはそこまでか?って感じもするのだけど、実際に仕掛ける方は大変な苦労をしたんじゃないかという気もする。主に綾辻氏の周りが…。知らないけどな。

とりあえず、シナリオは大変折り目正しい「新本格」。「本格」じゃないところがミソなんだけども(しかも綾辻作品未読だから「綾辻っぽさ」に関してはまるで分からんけども)。佐々木倫子氏の作画はそこここに漂う「新本格」な雰囲気を違和感なく(ある意味では違和感アリアリなところを的確に)伝えていて、「新本格ミステリ漫画」としてはひとつの頂点と言ってもいいだろうと思います。ミステリのコミカライズは結構いろいろ見たけれど、これほどシナリオと画のノリが合ってるのも珍しい。ここ 10 年くらいのミステリの動向って分からないなぁという人は、これを読んで楽しめたら大丈夫でしょう。小説で言えば中篇程度の作品なので、あまり濃いオチは期待しない方がいいですが…。小説だとダメだけど、漫画なら何となく受け入れられるという人も多いのではないでしょうか。

が。実はふうこ、この作品に出てくるテツどもみたいな、他人の話を全然聞かないタイプのキャラクターが出てくる話ってジャンルを問わずダメなんだよねー。古くは『うる星やつら』、最近では『涼宮ハルヒ』もそれが理由で好かん。正直、これでストーリーがしょうもなかったら本投げてたよ。まぁ『動物のお医者さん』や『おたんこナース』も似たようなところがあるけどぎりぎり大丈夫なんで、さじ加減の問題かなと思うのだけど。

あ、あと Amazon のレビューでは下巻の「作者あとがき」について文句を言っている人が多いのだけど、ふうこはそれを読んで初めて自分があとがきを読んでないってことに気づいたので(汗)コメントはパス。


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