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恩田陸『蒲公英草紙 -常野物語-』

蒲公英草紙―常野物語

時は明治、福島県のある山村を訪ねてきた伝説の一族「常野(とこの)」の一家族と村人達が過ごしたひと夏の思い出。ファンの間でも人気の高いシリーズの最新作です。

でも、実はあまり感想ってないんですよね。何と言うか、ちょっと不思議な昔話を読んだという感じ。「昔話」といっても古臭かったり寓話的だったりするわけではなく、絵本というか(絵はいっこもないけど)、童話というか(童に見せるにはちと難しいが)。

まぁ常野一族の話は乱暴にメタジャンル分けすると「キャラもの」に入ると思われるので、ごちゃごちゃ言ってないで不思議な人たちの不思議なありようを素直に楽しむのが一番だと思います。「キャラもの」というとキャラ以外の要素に不安がある作品を指していうこともあるようですが、恩田氏に限ってはそこんところの巧みさは折り紙つきですから、安心してお勧めできます。ありがたや。

それにしても、このジャンルにおいて恩田陸のオリジナリティは群を抜いてる…と思うんだけど、実は大体ほかに「源流」ともいえるべき作家が存在していたりするんですよね。このシリーズはかねてからゼナ・ヘンダースンの『ピープル』シリーズからインスピレーションを受けていると公言されています。どこまで追従しているのか、あるいは似ても似つかないのかは『ピープル』シリーズ未読なのでよく分からないけれど、ほかに同じことを考える人がちゃんと居るって時点で私の世間は狭いなぁと感じる瞬間でもあります。こんなの読んだことねーんだもん。


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Hana*shigure on 2005-07-17T14:37
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