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恩田陸『夏の名残りの薔薇』

夏の名残の薔薇

諸事情により1ヶ月遅れで読了。Amazon では『夏の名残の薔薇』で検索しないと出てきません。にゃろう…書影に映っているタイトルにもちゃんとがあるぞ。

さて、本書は文藝春秋社の展開する本格ミステリ・マスターズシリーズの最新刊として刊行されました。本格ミステリ・マスターズといえば、「このミステリーがすごい! 2004年度版」第1位/「週刊文春ミステリーベスト10(2003年)」第2位/「2003本格ミステリ・ベスト10」第1位/第4回本格ミステリ大賞受賞という歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』も所収されている、まさに「本格」のためのシリーズです。ということは、もしかして『象と耳鳴り』みたいなミステリ然としたミステリが読めちゃったりとか…?などと密かに期待してみましたが、最初の1節であっさり裏切られました。ま、本格って意外に間口が広いからな。

『夏の名残りの薔薇』というタイトルは、アイルランド民謡 The Last Rose of Summer(邦題は庭の千草)から取られていますが、作者が意識しているのは 19 世紀にハインリヒ・W・エルンストが作曲したバイオリンのための練習曲だということです。エルンストの『夏の名残りの薔薇』は一つのテーマを繰り返し変奏していく構成になっているそうで、本作の構成もそこからヒントを得て、「第一変奏」から「第六変奏」まで、同じ場所に居合わせた登場人物達が、そこでの出来事を代わる代わる一人称で語る構造になっています。ふうこが今まで読んだ中で一番近い構造を持っているのは貫井徳郎『プリズム』ですが、あえて端的に言うと『プリズム』があくまである「事実」を真ん中に据えて、「事実」の様相が「主観」というフィルタで乱反射する様を描いているのに比べ、本作は「主観」の方が「事実」に影響を及ぼす様を描いているので、自ずと着地点が異なります。

もし恩田作品を初めて読むなら、本作はお勧めかもしれません。氏の作品が持つ様々な魅力がまんべんなく詰まっていると思います。「本格ミステリ」と言えば折り目正しい推理ものしか知らない、という方にもお勧めです。きっと新鮮な読書体験になることでしょう。

…で、これを書きながらずーっと困っているのは、上の何や「書評」っぽい体裁の文章はふうこの個人的な感想とはまるきりリンクしてないということで。思いっきり主観でいうと、つまんなかったのです。何がって、語られる物語に何の変わり映えもないことが。またおんなじようなタイプの登場人物がおんなじような舞台装置でおんなじようなこと考えておんなじようなことしてんのか、としか思えない。しかもオチにものすごい違和感が…最終章の語り手が誰なのかが分かった瞬間お前かい!って心の中でツッコミ入れてました。

ま、本当はおんなじようなタイプの登場人物がおんなじような舞台装置でおんなじようなことを考えて行動するなんて同じ著者の作品ならよくあることなのかもしれないけれど。つまりふうこがその世界を好きじゃないというのが一番の原因なんだろう…。困ったなぁ。


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