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大沢在昌『アルバイト探偵(アイ)』

ワールドカップ、終わりましたねぇ。クロアチアと引き分けた時はまたしばらく TV でジーコがどうした、ヒデがどうしたとか延々やるのかーとちょっと鬱だったが、先の WBC の時の日本代表の首の皮一枚のつながりっぷりを考えてじっと我慢の子でしたことよ。

で、それとは全然関係なく、ここしばらく溜め込んでた今日の読書を順次投入。

アルバイト探偵(アイ)

第1弾は、たまたま書店でフェアというか、一連の作品を平積みで扱ってるのを見て買った一冊。どうも最近映像化されたようですね。適当に不良を心がけるチャラい高校生、冴木隆(さいき・りゅう)が、二人きりの家族だというのに今ひとつ得体の知れない涼介親父の探偵稼業のお手伝いであれこれ事件に巻き込まれる父子鷹サスペンスアクション、という非常につかみのよいお話。

が…、読み始めはちょっとのけぞった。何がって、文章から受ける感覚がハンパなく古い。

奥付を見ると、単行本の初版出版は 1986 年、今からぴったり20年前。さらにこれは『新宿鮫』シリーズなどでおなじみのハードボイルド作家の作品。要するに通俗小説であって、当然のごとく当時の最先端の取り込みがあるわけだから、今読むとある程度サムいのは仕方ない。でも、赤紫系ゴージャスな家主のおばさん(長時間営業の飲食店経営)に今日のファッションはどう?と訊かれていささか過激ってのはどうよ。いささかて。そりゃ 70 年代位の少女漫画に出てくる主人公の友達の小利口なメガネ女の台詞だろう。

ま、そこのところさえ目をつぶれば、冷めている部分と熱い部分のバランスが絶妙な隆のキャラクターも、とぼけた味を出しながらも決めるところはびしっと決める涼介のキャラクターも魅力的。たとえるなら北条司『シティーハンター』の冴羽獠を父子に分離したような感じ。…ていうか微妙にカブってるよな…。どちらもコメディタッチのハードボイルドとしてベタなだけだ、と言ってしまえばそうだけど(^^;)、何つっても通俗小説ですから。楽しければおっけー。そして、楽しいという部分では十分に楽しませてくれる作品でした。

ところで、ふうこは本書を読んでいて、ふとルパン派とホームズ派っていう話を思い出しました。ルパンが好きな人はこういうの好きなんだろうなぁと。ふうこは圧倒的にホームズ派なのよね。ルパンは何度読んでも頭に筋が入らないし、「冒険小説」というものの常であるドラマ性が強調された展開が鼻について今ひとつのめりこめない。ホームズ自体も「推理小説」とは言いながら冒険小説に半身を突っ込んでるのはよく分かっているけど、「冒険小説純粋培養系」(勝手に命名)はどうしてもダメ。

そんなだもんで、本作の続刊を読むかどうかはちょっと迷っている(笑)


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