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都筑道夫『退職刑事(1)』

退職刑事 (1)

ついに読書カテゴリ復活。最初のエントリは日本の安楽椅子探偵の代表格と言われているシリーズ短編集の第1巻です。いつかは読んでみようと思っていた作家さんでしたが、結局お亡くなりになってから初めて手に取ることになってしまいました。

タイトルから想像されるとおり、探偵役は定年退職した元刑事。気が向けば家を出てそれぞれ家族を持った5人の息子を訪ねる悠々自適の日々での格別の楽しみは、唯一稼業を継いだ(?)五男坊の抱えている難事件を推理すること。って、それって情報漏洩じゃん! 実際、息子が出した人名を聞いてある事件でその家を訪ねたことがあるなどと息子が特に名を伏せて話していないことを裏付けする退職刑事。マズー。

さて、都筑氏はこのシリーズで論理の提示のみを行う本格推理を目指したということなのですが、そんな本格ミステリに対するストイックなアプローチで真っ先に思い出す対抗馬は都筑氏が亡くなる前年に旅立たれた鮎川哲也御大。ぱっと比べてみたところ、鮎川氏の短編はストーリーの核になるトリックにひたすら焦点を当て、論理の検証において曖昧だが関係ない部分は調べたらこうこうだったので、この線はない。みたいな一文で片づけるのに対し、『退職刑事』は息子が思い出すがままに状況を話すので、重要な点とそうでない点の境界線に乏しく、上がり下がりの少ない展開が目立ちます。まぁあくまで「親子の会話」を通して話が進んでいくので当然といえば当然ですが、まどろっこしい気持ちになる時もあります。ちなみに、「論理の提示のみ」の点については…推理ものを読んでいても 30 秒以上考える気がない私に聞くのはどうかと…

というわけで、短編集なのに個々のストーリーについては全然触れていないこのエントリ。…読み終えたのが1ヶ月以上前で、話の筋が思い出せないのです。実はコレ、第2巻を読みながら書いてます。6巻+α出ているそうなので、楽しみに読んでいきたいと思います。

ところで、この作品、読み方はたいしょくけいじ


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