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グダグダ野球観戦記:り、リーグ優勝て!の巻

ご存知な方はご存知の通り、今シーズンの埼玉西武ライオンズはこれ以上ないという形で終わりました。率直に言って、意外。どんなに有能な野球評論家でも、シーズン前にこの成績を予想することなどできるはずはないと思います。ほんと、いつ終わるか、いつ終わるかって思いながら観てたよ……。

そんなこんなで今年は予定外の観戦にいっぱい行っちゃって、観戦記の未アップ分がたまり倒しているわけですが、ええ、全部書きますよ意地でも。誰も待ってなくても。もっとほかに触れることがあるだろうと言われても。実際あるけど。とりあえず目標は今年中。

ということで、まずはパシフィック・リーグ優勝決定前後のグダグダ観戦記から。

2008-09-22 ● 1-6 対東北楽天

この日までに、埼玉西武は福岡でシーズン終盤に大ブレーキのソフトバンクを攻略し、リーグ優勝マジックを 2 としておりました。この日、マジック対象チームであるオリックスが負け、西武が勝てばリーグ優勝決定。……見逃したくない!ということで、ふうこは仕事を早上がりして 19:00 頃球場へ。とはいえ、今日の楽天の先発は 5 年ぶりの 20 勝投手へリーチという岩隈。そうおいそれと勝たせてはもらえない状況です。

案の定、両軍とも 2 回に 1 得点した後、試合は膠着状態に。そのまま 6 回表に入りました。これ以上点を取られたら終わりと我慢、我慢のピッチングの西武先発石井一久、まずは先頭打者鉄平をレフトフライに打ち取ります。続くフェルナンデスもごくごく平凡なファーストフライ……のはずだったのですが、一塁手ブラゼルがそのなーんでもない球を何故か落球! 慌てて拾って 1 塁に投げようとするも、あまりにも平凡な当たりだったため誰も 1 塁をバックアップしておらず、打者走者はセーフに。慌てて内野陣がマウンドに集まって激励したものの、石井一の集中力はついに途切れ、がたがたと失点。打線も楽天の継投策に対応できず、痛い敗戦となりました。オリックスも千葉ロッテに快勝、マジックは 2 のまま。

内野陣がマウンドに集まった時、ブラゼルだけはその輪には加わらず、1 塁ベースの傍で所在なさそうにしていました。こういう時、外国人選手は来ても言葉が分からないので最初から来ないことが多いのですが、ブラゼルは呼ばれもしないのにやってきて、投手の置いたロージンバッグを勝手に使って帰っていくような選手。それだけに、この時のマウンドとブラゼルの距離を見たふうこはああ、今日は負けるかも……と思ったのでした。

2008-09-23 ● 7-10 対東北楽天

ええと、最初に言っておきますが、この日の観戦記は長いです。心してかかられよ。もしくは飛ばされよ。

さて、前日は岩隈の前に手も足も出なかった西武でしたが、今日は休日のホームでのデーゲーム、次の日は札幌への移動日。地元で胴上げを見届けたいファンにとっても、夜にビール掛けで存分に盛り上がりたい選手にとっても、今日優勝が決定すれば願ってもないことです。実際に監督や選手にはこの 2 連戦の最初から23日の方が都合がいいとのコメントが目立ちました。

が、そんな選手たちのことを苦々しく思っていたふうこ。何故なら、選手がいつでもいいなら今決める!と心から思わなければ、本当にいいタイミングで決めることなんて出来るはずがないと考えていたからです。例えそれが、前夜の敗戦がノーダメージであることをアピールするためのポーズだったとしても。

そんな運命の日、西武の先発は今年のルーキー平野。この日の『プロ野球ニュース』では中 32 日で登板と紹介され……って、そんなローテーションはねぇよ。本来のローテーションなら西口が出るところでしたが、前回の登板でまた右足を痛めて二軍調整中だったのでした。それにしてもこの平野、正直言って「黄金ルーキー」には程遠い。いくら何でもこんな試合に投げさせるとは、ナベQも粋が過ぎないか……と心配してたら、早速 1 回表に失点。タイムリー2塁打を放ったフェルナンデスが何故か 3 塁を窺ってアウトになったため、この回は 1 失点で終わりましたが、味方が同点に追いついてくれた次のイニングにまたもフェルナンデスから 2 ラン被弾。全く試合を作れる様子がありません。さすがにベンチも平野を諦め、2 番手大沼にスイッチ。

この大沼、最速 150km 超の速球を投げる豪腕ながらコントロールとメンタル面(要するに球速以外全部)に難があり、普段はローテーションの谷間に先発登板がある程度の中継ぎ投手です。西武ファンには、こんな「一軍半」の立場の選手を俺達と呼んで愛でる一派がいるのですが、大沼は彼らから特に総帥と呼ばれてリスペクトされているようです。

ところが、この日の大沼は本当にすごかった。牽制球でひとつアウトを稼ぐなど、普段のイメージを払拭するほどの素晴らしいピッチング、それには深ーい事情が。去る 9 月 21 日に父親を亡くし、この日は告別式だったのでした。お父さまとは福岡からの移動中に実家に立ち寄って対面したそうですが、家族から試合でいい投球をすることが供養だと言われ、元通りチームに合流したようです。……よかったね、大沼。これならきっとお父さんも喜ぶよ。……もう少し早くできりゃ良かったけどね。親孝行、したいときには親はなし。

とはいうものの、大沼の奮闘にも打線の援護はなく、7 回裏にやっとこさ 1 点返して 2-3。8 回表のマウンドには、昨季クローザーを失格になって中継ぎに回った小野寺が上がりました。が、先頭打者に投じた 1 球目が頭部を直撃! たった 1 球で危険球退場。……何やねーん!(怒) わざとじゃないと分かっていても力の抜ける展開。小野寺の代わりに正津が登板も、セギノールに 2 ランを食らって 2-5 と突き放され、いよいよ敗色が濃くなってきました。

ところが、ってもう今日はこればっかりですが、ここからえらいことに。8 回裏に登板した楽天 4 番手グウィンの調子は今ひとつ、野手陣のエラーも手伝って西武がじわじわと反撃を始めます。この回で 4-5 と 1 点差まで詰め寄り、なおも 2 アウト満塁。ここで出てきたのが、ゴトタケこと後藤武敏。実はあの松坂大輔とともに横浜高校でレギュラーを張り、法政大では三冠王にも輝いた強打者です。プロでは二軍で活躍するも一軍ではなかなか目立った成績を残せず、野手版俺達として例の一派(汗)のリスペクトを集める日々でしたが、今季ついに五輪代表の抜けた穴を補って大飛躍を遂げました。その端緒は今年 6 月、母を亡くした翌月にスタメン出場し、2 本塁打を放ってヒーローとなったこと。……だから、親孝行は親が生きてるうちにせぇと。

そんな後藤が、またしてもやりました! 走者一掃タイムリー、7-5 と一挙に勝ち越し! この次の 9 回表は不安定極まりない中継ぎではなく、今季ライオンズの絶対的守護神として君臨するグラマンが待機。2 点もあれば十分だ。どたばたの裏で、オリックス敗戦の報も入ってきました。間違いない、今日、この日に最高の形で優勝が決まる!

果たして、最終回のマウンドにはグラマンが上がってきました。まずは先頭打者の中島(なかしま)、放ったのはごくごく平凡な遊ゴロでしたが、遊撃手中島(なかじま)の打球処理が俊足に競り負け内野安打に。でもまだまだ、グラマンがランナーを出すのはいつものこと。最終的には打者 4 人で 1 イニングを抑えるので、ファンの間ではグラマンの四凡(三者凡退+1 人)はもはや様式美といわれています。次の代打高須は三振に斬ったものの、渡辺直人には右前安打。……あれれ。続いて、代打リックのぼてぼてのサードゴロを三塁手中村がファンブル! 一死満塁に。……ま、1 失点ならまだ勝てるし。中村のエラーもいつものことじゃん。大丈夫大丈夫。

ところが、この時既にグラマンはいつものグラマンではありませんでした。どんな展開からのリリーフでも顔色一つ変えないため(最初からパシリ顔という話も)試合見てないんじゃないかとまで言われるポーカーフェイスに、今日は明らかな焦りの色が。そして、次の藤井にはフォアボール。……げっ。押し出し! 1 点差、なおも満塁。しかもここで、またもフェルナンデス。ちょっ、何この巡り合わせ。やだなやだなやだな……と言ってる間に、外角に甘く入ったストレートを思いくそ振りぬいた打球が、あろうことかバックスクリーンへ一直線。

……うそだぁ。……嘘だぁぁぁぁ! 逆転満塁ホームランなんて! あのグラマンが! ないよ、ない! ない! 絶対に嘘だぁぁぁぁぁぁ!

……その後は、もうあまり記憶がありません。帰りの車中も、いつもなら敗戦の原因をめぐって相方とあやうく喧嘩になりそうになるのに、お互いため息ばかりついていました。グラマンで負けたら仕方ない。シーズン途中、グラマンが被弾して負けたときの渡辺監督のコメントです。ファンの立場でも、本当に、心からそう言えるほど、今季のグラマンは頑張ってくれてました。だから今日も何も言えません。言えないが、このタイミングでこんなのって……もう、何かの罰としか思えない。

結局、西武は次の日の千葉ロッテとのホームゲームも落として、地元胴上げも成らず。札幌に行っても日本ハムに 2 連敗ながら、オリックスの方が力尽きてリーグ制覇決定となりました。敵地で、負けて胴上げ。待っていたのは「最低限の」結末。……今季のセ・リーグを見ていたら「最低の」とは言えないが、やっぱり都合のいい皮算用をしても駄目ってことよね。

2008-09-28 ● 2-7 対オリックス

結局 9 月 21 日から一つも勝てないままホームに帰ってきて、この日は休日開催のホームゲーム最終戦(実際の最終戦は次の日)。ご覧の通りのスコアで、まぁひどいもんでした。見所も殆どないし。オリックス先発小松が、新人王を大きくたぐり寄せる完投勝利、ってとこですかね。ちなみに、小松はヒーローインタビューでお笑い芸人の山本高弘がする「織田裕二の物まね」をすることで有名なのですが、いくら何でも元ネタから遠すぎると思う。しかも、そのおかげで織田裕二の物まねの基になった CM の製薬会社から「目薬 3 ダース」が届いたらしい。だから、便乗するにも遠すぎだろ。

話を元に戻して、この日の一番の見せ場は、今季で引退の高木浩之の出場と、何と言ってもオリックス清原の代打。敵味方関係なく盛り上がりました。つうか、代打に出たのが 5 点リードの 8 回表だったので、清原が出た後、特に 3 塁側の客帰る帰る。試合終了までにがらんがらんになっちゃいました。

というわけで、最後はものすごい脱力のレギュラーシーズン観戦記でした。それにしても、新人王。今季の前半くらいはソフトバンクの大場投手がくるだろうと思っていたんですが……。小松なんて完全ノーマークでしたね(ふうこが知らなかっただけだけど)。ソフトバンクはチームも最下位に沈み、これもかなり意外な展開でした。今年のペナントレース、ことパ・リーグにおいては番狂わせもいいところだったんじゃないでしょうか。……いや、やっぱ「13 ゲーム差」のインパクトには敵わないか。


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