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恩田陸『蒲公英草紙 -常野物語-』

蒲公英草紙―常野物語

時は明治、福島県のある山村を訪ねてきた伝説の一族「常野(とこの)」の一家族と村人達が過ごしたひと夏の思い出。ファンの間でも人気の高いシリーズの最新作です。

でも、実はあまり感想ってないんですよね。何と言うか、ちょっと不思議な昔話を読んだという感じ。「昔話」といっても古臭かったり寓話的だったりするわけではなく、絵本というか(絵はいっこもないけど)、童話というか(童に見せるにはちと難しいが)。

まぁ常野一族の話は乱暴にメタジャンル分けすると「キャラもの」に入ると思われるので、ごちゃごちゃ言ってないで不思議な人たちの不思議なありようを素直に楽しむのが一番だと思います。「キャラもの」というとキャラ以外の要素に不安がある作品を指していうこともあるようですが、恩田氏に限ってはそこんところの巧みさは折り紙つきですから、安心してお勧めできます。ありがたや。

それにしても、このジャンルにおいて恩田陸のオリジナリティは群を抜いてる…と思うんだけど、実は大体ほかに「源流」ともいえるべき作家が存在していたりするんですよね。このシリーズはかねてからゼナ・ヘンダースンの『ピープル』シリーズからインスピレーションを受けていると公言されています。どこまで追従しているのか、あるいは似ても似つかないのかは『ピープル』シリーズ未読なのでよく分からないけれど、ほかに同じことを考える人がちゃんと居るって時点で私の世間は狭いなぁと感じる瞬間でもあります。こんなの読んだことねーんだもん。


恩田陸、『ユージニア』で直木賞候補に

  • 河北新報ニュース 直木賞候補に仙台出身の恩田さん 郡山出身古川さんも(リンク切れ)

時間が経っても残っていてくれそうなページを探すのに困ってしまった(そして結局切れた)。とりあえず恩田氏の出身地、仙台の郷土紙であるところの河北新報のリンクを。大抵ニュースリンクは Yahoo! ニュースから各ニュースサイトに飛んでパーマネントリンクを取ってくるようにしてるんだけど、そもそも Yahoo! にトピックが載ってないんだもんよ。かと思えば岡元あつこたらいうタレントの結婚の話がいつまでもトップに載ってるし…。Yahoo! ニュースもアレだなぁ(どれ?)。

で、それはよくって、本題です。祝!初ノミネート(^^)(だよね?)でも候補作が『ユージニア』だというのは個人的に微妙〜。…いや、別に悪い話じゃなかったし、恩田さんの持ち味がよく出てるから、あれで受賞できれば素晴らしいことだとは思うんだけど…。でもあれを読んでて、ちょっと宮部みゆき『理由』を思い出したんですよね。過去の事件について関係者の証言を使って再構成するというアイデアが似てるだけでアプローチは全然違うんですけど。でも『理由』は直木賞獲ってるけど『ユージニア』ではだめなんじゃないか、という気がひしひしとしてます。

何ていうか、直木賞って、あまり現実の中の非現実を強調する作品が好きじゃない気がする、というのがひとつと、いわゆる社会派っぽい作品でも作品に表現される『社会』とか『世間』とかいうものに一定の基準があって、ある程度その基準に沿ったリアリティが表現されてない作品には冷たい気がするんですよね。東野圭吾氏とか、何度もノミネートされてるのにそんな感じでずっと落とされてるような。で、『ユージニア』もその基準には沿いきれていないんじゃないかなぁと。多分恩田作品でその基準に沿っているのは『夜のピクニック』だけだろう。…だから、『夜ピク』の各賞受賞であ、こんなひといたんだ的に『夜ピク』以外の近作でエントリーされたんじゃねぇの、みたいな邪推が頭をよぎって、今ひとつ喜べないんだよなぁ。

ま、実は恩田氏以外のノミネート作は見事にスルーしてるし、そんなに直木賞に詳しい訳でもないので、結局上に書いたようなことは単なる戯言で終わる可能性も十分あるんですけど。落ちたら落ちたで、直木賞って割と何度もノミネートされた末に受賞というケースも多いみたいだし、まずは一歩ということで。

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おかえりっ。

昨夜家に戻ってきたら、三台目姐が帰ってきてました。中7日か。まずまず。テスト OS で検証完了とのことで、もしかすると Tiger かも、と期待したけれど、10.3.5 だった。…10.3.9 にアップデートするのに 30 分くらいかかったよ。

で、その間にターミナルの設定を直して、デスクトップの設定を直して、AirMac の接続パスワードを忘れて、思い出して、Firefox インスコして、拡張をインスコして、Yadal をインスコして、XCode がインスコされてないから Emacs のコンパイルが無理と気づいて、NewsFire の登録データは Library のバックアップではとれてないということに気づいて、全部登録し直してる途中で力つきたり…本格的な復帰宣言は当分先。

ちなみに今日はうちらの回目の結婚記念日。…結婚式をやった日は数えないのか。ははは。


映画『機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者』:おかわり

東京ファンタスティック映画祭におけるスポット上映鑑賞から半年あまり(関連記事)、先週末にやっと一般公開を観てきました。

前回の時は(一応)一般公開日は未定、次に観られるのはいつのことやらということで、どうしても TV 版との違いを追いかける方に意識が向きがちだったのですが、今回は純粋に作品としてどうかという点に主眼を置いて観ることができました。TV埼玉でのリハビリの成果あって、無理に追いかけなくても違ってたら分かると気楽になったところもあったかな。

行く前はもっと今回が『Ζ』の初見であるという人に観せるのは厳しいという印象が強くなるかと思ったんですが、結構そんなこともなかったです。ファンタで観た時これ残したのかぁと頭を抱えた MP をモビルスーツで脅すエピソードについて、先に手を出したくせに『殴る人は怖い』とか抜かすバカガキが無茶しよるからそもそも相手が先に失礼な振る舞いに及んだのに一方的に悪者扱いされた少年がちょっとだけ溜飲を下げるという表現になっていることに気づいたりとか、知っているが故に固定されたイメージが訂正される瞬間もありました。ただ、逆に初見より疑問に感じる部分も多く出てきました。

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